2019/10/28
奈良県平成緊急内水対策事業(雨水貯留施設整備工事)起工祝賀式
10月26日(土)田原本町にて、奈良県平成緊急内水対策事業、社会福祉協議会駐車場他雨水貯留施設整備工事起工祝賀式の開催いたしました。
奈良県知事 荒井正吾様、総務大臣 衆議院議員 高市早苗様、参議院議員 堀井巌様、参議院議員 佐藤啓様、奈良県議会議員 井岡正徳様、奈良県議会議員 松本宗弘様、国土交通省近畿整備局河川部長 様、自治連合会会長 森井基容様を始め、多くのご来賓の皆様方にご臨席を賜りまして、無事に式を終えることができました。
ここ田原本町は、大和川、寺川、曽我川、飛鳥川の一級河川が4本が町内を通過していることから、古くは唐古・鍵遺跡という弥生時代には環濠集落が発展し、水と共に暮らしてきた地域であります。また明治から昭和にかけ「大和の大坂」といわれるように商売が盛んになり、河川を使った水運により経済活動が活発な地域でありました。
しかし、一方、度重なる洪水被害にも悩まされた町でもあります。
私の記憶に鮮明に残っているのは、昭和57年8月台風10号大雨による大和川決壊であります。家屋が108軒損壊、床上浸水432軒、床下浸水620軒の被害があり、小学生だった頃の私の脳裏にも泥水が迫ってくる様子、同時の田園風景が泥にまみれ、家屋からは泥にまみれた畳や家財道具が出されていたことが、鮮明に脳裏に焼き付いています。
それ以降にも、
平成10年 大雨 床下 20軒
平成22年8月 大雨洪水 床下 65軒
平成26年8月 台風11号 床下 16軒
の被害が大雨ごとに記録されています。
また平成29年の台風21号襲来時、町役場の中は混乱状態でありました。想定を超える大雨、刻一刻と変わる気象状況、河川状況に対応できず、また度重なる住民の皆様からの問い合わせで混乱する中、町内を流れる4つの一級河川とその支流の水位は見る見るうちに上昇を続けていました。
川下にあたる「亀の瀬」の水位は限界値に達しながらも、川上には雨雲があり、多量の雨水が田原本の4つの河川に流入し、「流れていかない水」と「流れてくる水」に挟まれる当時の危機的状況に、本町に甚大な被害が出ることを覚悟したのも事実であります。床上浸水10軒 床下浸水46軒の被害がありましたが、あと30分雨が続けばどうなっていたか、住民の命を守る責務がある市町村の今までの考え方、やり方では対応できないと明確に理解できました。
この台風21号の経験を踏まえ、
○町民防災訓練の実施方法を変え
○自主防災組織の拡大を広め
○平成30年度奈良県総合防災に訓練地として参画
○広報誌に防災のコーナーを毎号確保
○被災地への職員の派遣など
町職員の防災教育と住民への防災意識の向上、ソフト対策にも取り組んで参りました。
また、ハード面においても
○防災無線フリーダイヤルの運用開始
○安心安全メールの活用
○災害電話FAXサービスの運用
○奈良県と共に開始している水田貯留(田んぼダム)
○十六面雨水調整池、西竹田雨水調整池整備
○浸水エリア上位にあるため池阪手二丁池の活用
○浸水常態地域へのICT水位計の設置
を活用した貯留対策へも取り組んで参りました。
しかし、21号を超える降雨が発生すれば現状、田原本町のインフラでは対応できない現実があります。
このような市町村の現状把握に奈良県もいち早く取り組まれ、荒井知事が奈良県に必要な更なる内水対策として平成30年5月17日に立ち上げられた「奈良県平成緊急内水対策事業」に、田原本町としてもいち早く参加させていただき今日を迎えることができました。
5年以内に大和川流域の床下、床上浸水ゼロを目標に候補地が抽出され、田原本町においてもこの場所を含め6カ所適地として選定され、町内での貯留施設整備をスタートすることができた「奈良県平成緊急内水対策事業」への住民の期待も大きく、大雨の度に寺川へ流れ込まない水が道路にも一気に貯まり、被害を受け続けたこの地域にお住まいの方々からは、多くの喜びの声も届いております。町を代表して感謝申し上げます。
住民の命を守る対策は、マニュアルや行動指針、防災意識の向上などのソフト対策はもちろん必要であります。しかし、ソフト対策を活かすためにも、住民が避難する時間、猶予を確保するためにも「奈良県平成緊急内水対策事業」貯留施設整備に代表される国、都道府県、市町村が連携して進めるハード面での整備が必要であります。
ハード整備とソフト対策をしっかりリンクし合う防災対策に今後も積極的に取り組み、奈良県平成緊急内水対策事業を中心とした浸水区域解消に向けた浸水対策事業を、田原本は推進して行く所存であります。
本事業への取り組みにご尽力いただいた関係各位に感謝を申し上げるとともに、田原本町の浸水対策事業に今後も引き続きご尽力頂きますことをお願い申し上げます。